まずはこの写真を御覧ください。

昭和40年代の横須賀海軍基地で撮影された、とある建物の写真ですが、ぱっとみて何か別のものに見えませんか? この時点でなにかわかった方は相当な観察眼の持ち主ですが、ネタバレするとこの建物…
実は、とある軍艦の一部分を移築したものでして、その正体は帝国海軍の潜水母艦「大鯨」の艦橋と前檣なのだそうです。 大鯨は横須賀海軍工廠で1941年から42年にかけて航空母艦「龍鳳」へ改装されたのですが、その際に撤去された艦橋部分を、基地の対空監視塔か何かに転用したらしく、戦後は米軍がヘリポートの管制塔として利用していたようです。
現在の横須賀基地の航空写真と照らしあわせると、おそらくヘリポート[H]付近にあったと思われますが、現在そこには別の管制塔が建っているため、残念ながら写真の艦橋はだいぶ前に撤去されてしまったようです。
よりしろのふ・帝国陸海軍現存兵器一覧 サイト内の「謎?の物件」コンテンツに、この艦橋についての情報と出典元が掲載されていますが、それによると昭和16年(1941年)頃にそれらしき艦橋はまだなかったそうです。 ちなみに大鯨は、41年12月20日から航空母艦への改装に着手、42年11月28日に改装を完了しているため、その間に艦橋と前檣部分が取り外されたのは間違いありません。
さらに昭和19年(1944年)11月1日、B29(偵察型)によって撮影された横須賀基地の航空写真で地図と同じ場所を見たところ、それらしき建物がありそうなのは赤丸の部分くらいですが、残念ながらここだという確証は得られませんでした。 あるいは戦後、米軍がどこか別の場所にあった艦橋を、ヘリポート建設の際にここへ移築したのかもしれません。

横須賀基地ではガントリークレーンやドライドック・スチームハンマーなど、多くの旧帝国海軍の施設が米軍によって引き続き利用されましたが、このような日本人の知らないところでその役目を終えて、ひっそりと消えていった施設も多かったようです。
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